ポートフォワードの経路で、Uターン NATとかヘアピンNATが使えないルータの場合のあれこれ

先日、以下のように困っていました。

Termuxのapache2+php+mariadbのチューニング前のwordpressの速度とか
::
まぁ、速度的なことより困っていることがあります。それは、ローカルのマシンから、termux上で動作しているwordpressにグローバルIPでアクセスできないことです。この場合、ルータの管理画面にアクセスしちゃうんで、どうしようかなと。こういうのなんていうんでしたっけか? とにかく、今の拠点のルータ(PR-400KI)は、内側ネットワークから外側のグローバルアドレスにアクセスしたものを、変換(最終的にサーバのプライベートアドレスに変換)してくれないのです。

これ、言葉で書くとよくわかりませんが、どんな問題かというと以下のようになります。

こういう表現として、UターンNATとか、ヘアピンNATとか呼ぶようです。これが出来るルータとできないルータがあり、NTTから借りているルータではできませんでした。いろいろ解決方法があるとは思いますが、一番簡単なのは、クライアントPCをVPNで外部のネットワークからアクセスさせる方法です。つくば大学のVPN Gateを使えば簡単に解決できますが、インターネット経路となりいまいちです。プレイベート間の通信なのでリバースプロキシを経由する方法が良さそうです。ポート変換がなければ、hosts を書き換えるか、内部DNSを立ち上げればいいのですが、今回の場合は、スマホサーバで提供しているポートは8080です。80と8080を対応付ける必要があり、hosts だけでは無理なので、リバースプロキシを通して、アクセスしてみることにします。

 ブログの更新は、クライアントPCからしか行わないのでこのPC中に設置してみました。もちろんリバースプロキシを分離して、内部DNSを立ち上げれば、理論上は何台でも違うポートとIPを使って好きなドメインでアクセスできます。そのうち、IoTデバイスとか、スマホサーバでクラスタリングとかロードバランサーとか使い出したら内部DNSやリバースプロキシは欲しくなってくるのですが、それはその時にまた考えることにします。

 ということで、クライアントにリバースプロキシを作って、スマホサーバの8080ポートで提供されているWordPress にアクセスしてみることにします。幸い、クライアントはMacなので nginx とかで簡単に作れます。

Macでリバースプロキシをnginxで作る

経路のイメージはこんな感じでしょうか。まずは、nginx を入れます。

$ brew install nginx

起動と再起動、停止は以下のようにします。

・起動
$ sudo nginx
・再起動
$ sudo nginx -s reload
・停止
$ sudo nginx -s stop

設定を以下のように書き換えます。server_nameや、proxy_passのIPやポートなど読み替えて書き換えてみてください。

/usr/local/etc/nginx/nginx.conf
::
worker_processes 1;
error_log /usr/local/var/log/nginx/error.log;

events {
  worker_connections  1024;
}

http {
  # This should be in the same directory as this conf
  # e.g. /usr/local/etc/nginx
  include       mime.types;
  default_type  application/octet-stream;
  
  # Note this log_format is named 'main', and is used with the access log below
  log_format   main '$remote_addr - $remote_user [$time_local]  $status '
    '"$request" $body_bytes_sent "$http_referer" '
    '"$http_user_agent" "$http_x_forwarded_for"';

  sendfile        on;
  keepalive_timeout  65;

  # Without this I got this error: 'upstream sent too big header
  # while reading response header from upstream'
  proxy_buffer_size   128k;
  proxy_buffers   4 256k;
  proxy_busy_buffers_size   256k;

  server {
      listen 80;
      server_name jh.gpl.jp;
      proxy_set_header    Host    $host;
      proxy_set_header    X-Real-IP    $remote_addr;
      proxy_set_header    X-Forwarded-Host       $host;
      proxy_set_header    X-Forwarded-Server    $http_host;
      proxy_set_header    X-Forwarded-For    $proxy_add_x_forwarded_for;
      access_log /usr/local/var/log/nginx/reverse-proxy.access.log  main;

      location / {
          proxy_pass         http://192.168.1.38:8080;
      }
  }
}

hosts を書き換えます。

$ cat /etc/hosts
::
127.0.0.1 jh.gpl.jp

nginx を再起動して、ブラウザでドメインに対してアクセスすればOKです。

ちなみに、wp-config.php に以下を追記すると、接続元が192.168.1.26 の時だけWordPress のドメイン名が www.gpl.jp に書き換わります。もちろん、アクセスするクライアントのhosts は書き換える必要があります。

if( $_SERVER['REMOTE_ADDR'] == '192.168.1.26' ){
    define('WP_HOME','http://www.gpl.jp');
    define('WP_SITEURL','http://www.gpl.jp');
}

ということで、macos で簡単にリバースプロキシーを立ち上げて、内部ネットワークの違うポートで提供されているWordPress にアクセスする方法でした。

Lan内部のスマホからもアクセスしたい場合は、内部DNSをDHCPで配布して、リバースプロキシーと対応付けしないとだめですので、完璧を求めるならそれらが必要です。そのうち、作る機会があれば紹介したいなと思います。